ゴールデンウィーク── それはまとまった時間を有意義に使わねばならない、という無言の圧を感じる魔の週間でもある。
このまとまった休暇を有効活用すべく、 DURA-ACEのクランクを事前に入手して交換作業に勤しんだ。
ただ世間様の感覚からしたら、5万もするクランクを買う時点で ギルティ と後ろ指を刺されそうだ。「ソレ見せたら、泣く子も黙るの?」と突っ込まれたら、こちらが黙ることになる。(最悪涙目になりそう)
ひとまず、GW明けの仕事が早くも待ち遠しくなる大人の高度な仕事術さ、と弁明しておこう。
Hello New Dura! Goodbye My Money ──
INDEX
これまで使っていたアルテ6800シリーズ → デュラエース9100シリーズへ。
Ultegra FC6800
クランク長:170mm
チェーンリングギア:52×36
2016年2月購入 16800円くらい(外通)
Dura-Ace FC-R9100
クランク長:165mm
チェーンリングギア:52×36 (→のちに50×34)
2018年4月購入 46000円くらい(国内)
ボトムブラケット(BB)
規格:BB30
プラクシスワークス コンバージョンBB 使用
ベアリング:スチール
デュラのお値段なら アルテ x2個 買えますね。(2個あっても意味ないけど)
交換理由はクランク長の変更が主旨なんだけど、見た目についてもアルテ伝統のアイスグレーの色味が中途半端で気になっていた。
ただ、9100系Duraクランクもブラックの主張が強いというか、周囲を飲み込む黒って色味でフレームにベストマッチとは思ってない。ここらへんの取るに足らない戯言は後述で。
このバイクを組んだ2016年には、中央をネジで連結するタイプのBBはプラクシスワークスくらいしかなかったので、これにしました。
打ち込む圧入タイプは、事例を調べるといろいろ不安になり、取り外すときに一苦労しそうなのでパス。
その後、中央連結タイプのBBはラインナップ豊かになりました。代表格はウィッシュボーンの商品。セラミックベアリング採用でお値段は高め。耐久性は半年くらいで異常が出たって話も目にしますのでちょっと心配。
ブレーキプロテクターという名のシリコーングリスは、「チューブタイプ」と「スプレータイプ」があって、本来車やバイクのブレーキパッド部分に塗布するため、スプレーだとやりやすいんじゃないかと推測。自転車ならチューブの方が塗り込みやすい。でも値段は高い。
Amazonのレビュー などを見てると、粘り気があって密度が濃いことから、防水効果もあり高い耐久性があるので経年変化にも強い。
参考 ちょう度よい かたさ - のむラボ日記ちょう度よい かたさ - のむラボ日記参考 FD-R8000 172.5mm→170mmヘ① ホローテックⅡクランク交換方法と諸々 : えふえふぶろぐえふえふぶろぐ
クランク交換の目的は、165mmクランク長を試したいため。
クランク長=身長1/10の法則に従って、170mmを使用していましたが、どうも上死点(最上端)で足の運びがスムースにいかない感触を抱いていました。
あるとき、プロ選手が使用してるクランク長の情報を目にします。
身長 | クランク長 | |
カンチェラーラ | 186cm | 175mm |
クリス・フルーム | 186cm | 175mm |
ペテル・サガン | 184cm | 172.5mm |
別府史之 | 180cm | 172.5mm |
コンタドール | 176cm | 172.5mm |
キンタナ | 167cm | 172.5mm |
新城幸也 | 170cm | 170 → 172.5mm |
※ネット上で出回っている情報。真実は己で確かめてくれ。
え、カンチェラーラって175mmなの。
ここで「クランク長=身長1/10の法則」の呪縛が外れます。
身長が高く、かつ足が長い外人が、クランク長=身長1/10 でないなら、足が短い日本人はなおさらクランク長短くないとダメじゃん。(キンタナと新城幸也は別規格な感じですが)
そんなわけで、日本の一般的なクランク長の算出方法とは、別のベクトルで情報を集めて、世に言うショートクランクも一理ある、というか身長差や足の長さが10〜20cm違うのにクランク長は5〜10mmのレンジ内で調整するって比率がかけ離れてないか、と疑問は深まるばかり。
交換後、体感的に足の回転がすんなりになったと思う。下死点が上がることでサドル位置も高くなり、ライディングフォームの均整が取れたというか、より整ったような気もします。ただライドフォームは他の要因も組み合わさってくるので素人の肌感覚で改善されたと判断することに対して、本当のとこはわからないって気持ちもあります。
SPECIALIZEDが行っているフィッティングサービスでは RETUL Müve という各部分を自由に動かせるマシンで適正なポジションを探っていける。いろいろ比較検討した上で行き着いたポジションは安心感もあるでしょう。
ラ・クランクなどの商品を出してる東京サンエスさんのサイトを覗くと、クランク長、Qファクターなど多種多様な商品展開してます。あれだけのラインナップがあるならシマノ規格一辺倒でほかは視野に入れてなかったけど、適正なものを探ってみたいという気持ちを煽ります。
『La・Crank』(ラ・クランク)がDixnaからいよいよ登場【東京サンエス】
日本人、特に骨盤の狭いライダーには、Qファクターというクランクの左右の幅が重要になります。クランクをスムーズに回転させるには、陸上選手のように足の軌道を真っ直ぐ上下させることがひとつの理想でしょう。骨盤が狭く小柄な日本人には、従来の平均的Qファクターのクランクでは、その軌道が八の字になってしまいがちです。多くの完成車に付いているクランクは、日本人ライダーに於いて長過ぎる場合が多いようです…
「Duraクランクじゃなくてアルテでもいいじゃん」「いや、見栄を張ってDuraを導入したい」という鬩ぎ合いも30秒くらいありましたが、まぁDuraクラスで、となりました。
ある程度の水準の機材で走れればいいじゃん!って考え方が、TIMEフレームを使っているうちに、フレームにマッチするパーツが組み込まれたときになんともいえない自転車の佇まいってあるじゃないですか。(自己満足) そういう愉しみで心が潤ってしまっている。と向かってはいけない方向に面舵いっぱいな状況。
Duraクランク以外に検討した候補
Duraクランクを購入しようとは決めたが、ほかのメーカーのクランクも一通り検討してみた。
官能的なデザインのカンパは憧れ。シマノコンポベースでも、インストールできそうなことは調べてわかったが、雨の日は引っこ抜いてメンテが必須=洗車の際も?と思ったり、今の自分の知識ではハードルが高いので断念。
キャノンデールのスパイダーリング+ホログラムクランク。目にする情報ではカッコよくないと言われているけど、そこまで悪くはないかと思ってる。1枚金属板からの削り出しのチェーンリング。
スラム Red。これでも差し支えないOKレベルだったけど今回ご縁がございませんでした。
ローター アルデュー。こちらも1枚金属板からの削り出しチェーンリング。いまから取替ができるならこちらをインストールしてみたいと思った。真円リングと楕円リングがラインナップされる。楕円の取付角度が19段階で調節できるってのも、なんかすごい。使わないであろう120色鉛筆セットを持っておきたい購買心をくすぐるようだ。ただパワーメーター内臓のクランクしか165mm長のラインナップがないので値段がちょっと無理。(178,000円)
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2019年のRotor製品のラインナップで新たにAldhuクランク長が追加。
150,155,160,165,170,172.5,175mm と豊富なラインナップ。
参考
展示会 ROTOR 2019年モデル 盆栽自転車店ブログ
今回は交換前と同じ 52×36 をチョイスした訳だが、その理由。
とまぁ、コンパクトリングに対する思い込みが酷いわけで、いっちょ前に 52×36 を導入してるけど見栄ですね。自分の脚力や運用シーンを考えれば 50×34 が適正に思える。(スプロケは11-30だし)
チェーンラインという概念は最近覚えたもの。チェーンが直線になるギア比と脚力がマッチした方が効率良い、たすき掛けチェーンはロスが発生する、ということです。
チェーンがたすき掛けになるのは、「抵抗が増える」「金属の摩耗も早まる」というデメリットがある。同じギア比ならアウターで回した方が効率良いという説もあるけど、アウターxリア:ロー側でジャリジャリ鳴かせてるのを見ると、素直にフロントをインナーにした方がいいんじゃない?と感じることもある。
FSAなどがコンパクトリングを始めて、シマノが導入して広まっていくのかと思ったらフロントトリプルを廃れさせたくないので、シマノサイドが渋りコンパクトリングはいまいち浸透していない、という話を聞いた。サーキットレースや脚力がある人なら良いけど、日本地形の急な坂や丘陵、旅ポタ運用ならコンパクトリングは正解な気がする。
できるなら、前もも太くならないで、だけど脚力が付いてくような筋肉のつき方を理想としてるけど、目下奔走中。(臀筋を鍛えよう)
読んだり聞いたりしてきた中でしっくりきたサドル高の目安は、
「重量挙げをしたときの伸び切らない程度の膝の角度」
膝が伸び切る→使う筋肉がスイッチして戻るまでタイムラグが発生する、とのこと。
ロードバイクに乗り始めた頃は調子に乗ってサドル高を高くして膝を痛める ビギナーあるある を経験した。数十キロのライドだとペダリングする回数は2万回近くになるらしい。身体に対して無理なポジションで乗っていれば確実に疲労や痛みとなって現れる。
上死点をスムースに通過できないなら股関節周りのストレッチや臀筋ストレッチを取り入れよう。おしりを上から下まで指でグリグリして痛気持ちいい部分があればそれはコリがある証拠。臀筋ってコリがあっても肩こりみたいにわかりやすくフィードバックされない。でもそのコリをカバーするため腰の筋肉などが補い、結果腰痛に影響/発展することもある。
デュラエースのネーミングは、ジュラルミン(Duralumin)素材を使用していることに由来してます。あと耐久性(Durability)も掛けてる。
この〝Dura Ace〟という語呂の名付け親は島野工業ではなく、高木製作所。
当時の日本製品の生産体制は、部品連合 JBM という分業体制で各会社がパーツを生産し、個々で部品供給していた。
しかしカンパニョーロ側は単独でコンポーネントセット販売できるため市場シェア優勢。これに対向すべく 1975年、島野工業は JBM を脱退し、総合部品メーカーを目指す岐路を選ぶ。
そんなわけで、ネーミングの発端は、元々は高木製作所が供給していた最高級クランク〝Dura Ace〟単体パーツを指すものだった。だけどシマノが総合コンポーネントの展開を始める際に、最上位グレードを総括してDURA-ACE と呼ぶよう採用。そして今日に至ります。(サイスポ2018年11月号 温故知新より)
DURA-ACE, ULTEGAR, 105, Tiagra, SORA, Claris…
嗚呼105・・・、ほかのグレード名はカッコいいのになぜか 105 だけ仲間はずれ感が否めない、不憫・・・。欧米では何て呼んでんだ? OneZeroFive…? Ichimarugo…?
ちなみにリリース当初は、ジュラルミン って材質名の方が世間的に浸透してたので、初期は ジュラエース と表記していた。ちょっと昔に自転車やってた人は ジュラエース憧れたよね〜 っと口にするので、あのオッサン、呼び方わかってねーよw、とリアクションしないよう心に留めておきましょう。
Duraクラスにすると、よく見るレビュー&インプレ。
自分は細かな感触を感じ取れないので、ネットで見るインプレ所感に対して、明確にわからないけど、そういうものだから、良い方に思い込もう、というスタンスです。
たぶんダウングレードしたら、アレッ、なんか違う!? ってわかるのかもしれないけど、比較する手間に時間を使うなら走ることに時間を使おう、って感じです。
でも見た目に関しては当初より、だんだん満足してきました。
漆黒の見るからに剛性ありそうな質感は、坂を上っているときに、いま入力している全エネルギーをロスするとなくDuraクランクが受け止めてくれている、と説得力ある佇まいをまとっています。(入力した全エネルギーが駆動力として100%出力されているかはまた別の要因が絡んでくるけど)
交換して見た目は改善されたけど、いろいろ疑問が尽きない。
クランク長、Qファクター、スタックハイト、ギア比、ポジション、筋肉の使い方 etc…
走っていたら突然クロモリ乗りのベテランライダーが現れて、
ここをこうしたら改善される、うちにパーツが余っているから貸してあげるよ、というドリームジャンボな出会いがないか願っているが、外房ライドしてるとあまり出会いもない。そしてショップ難民の地域なので、この地で開業しようとしている(酔狂な)人は是非とも連絡頂戴したく存じます。貴殿のご活躍と益々のご発展は約束できないけどお祈りしております。