桃の花の存在を知ったのは、たまたま映ったテレビの映像からでした。
一面ピンク色に染まった光景、山梨方面、自転車が走る──
断片的な情報がセーブされて、何か機会があれば一目見たい、と記憶の奥底に留めた。
そのくらいのインプットだったからこそ、山梨県笛吹ライドは鮮やかで新鮮な体験として刻み込めたのかもしれない。
えっ、まだ桃の花を見たことないし、行ったことがない?
それなら今すぐ、この画面のブラウザはシャットダウン、情報はシャットアウト。
この記事をなぞったことで先入観が植え付けられることはモッタイナイし、ニュートラルな状態で味わえる体験は、絶頂な時間に遭遇《であ》える またとないチャンス。
INDEX
桃の花の見頃は、桜の満開になる頃と同じか+0〜10日ほど。
2018年の桜は例年より、開花→満開の期間が短く、東京の桜は3月末には散り終わってしまう年でした。事前に桃の花の満開時期を見定めてたけど、予想していたよりハイスピードな展開に困惑。
満開期間って3日間くらいなので、現地の開花情報のサイトを確認して、ぜひ満開の時期に行ってみてください。
参考 桃の花(桃源郷)お花見情報【山梨:牧丘タクシー】桃の花(桃源郷)お花見情報【山梨:牧丘タクシー】
2018年4月4日、この日の気温は4月なのに夏日(25℃以上) になる、という天気予報だった。
満開時期に走れるだろうか・・・?
土地柄に詳しくないので開花具合もさっぱりだ。確信が持てなかったけどこの日を逃すと天候が悪くなるので現地に賭けた。平日だったが、仕事はサボって ・・・来るべき接待での下見・予行演習、と意味不明な使命を唱えて、後ろめたさも置き去りにしてきた。Let’s Spend Cycling Time, NOW !
スタート地点「笛吹川フルーツ公園」高台にある植物群が豊かな大きな公園。
東京は3月末には桜が散っていたけど、笛吹は思っていた以上に花盛り。その光景に心もほころぶ。
笛吹川フルーツ公園 は、駐車場が無料で入浴施設もあるので、ここに車をおいてスタート。電車なら山梨駅が最寄り駅。
フルーツ公園からは、「フルーツライン」というその名もズバリのコースをゆく。果樹園だらけの山腹をなだらかに下っていくコースだ。平日だからなのか交通量も少ない、信号はゼロ。走行環境は至って快適。
写真には収まらない ──
走ってみるとその規模のでかさ、というかどこまで続くのこのピンク色。こんな地域が存在していることに心は躍る。なんとか写真に撮ろうと試行錯誤するけど、レンズの種類や撮影ポジがいくら自由になろうとも、現地を走り抜けたときにしか味わえない瞬間がある。
止まらないで走りたいけど、いや、やっぱこのアングル撮りたい!と走り出しては 停車→撮影 の繰り返し。ミラーレスカメラを持ってきて良かったし自転車ならではのクイックさと身軽さが活きる。
撮影欲求で3kmほどしか進んでないけど、山の上へと続く道を発見。この景色をもっと見渡せる場所に行くには上だ。どこに出るはわからないけど、知らない道に突っ込んでいくのも自転車の醍醐味。
坂の上には 永昌院 というお寺がありました。
中の人と話すと、境内にある大きな桜としだれ桜が同時に満開になるのはその年の気候次第で今年は揃ったみたい、とのこと。正面に植えられた木々はどれも花いっぱい。ネットで調べればフォトスポットとして紹介されているのかもしれないけど、予備知識ゼロで出会える幸運を噛みしめる。
それは例えるなら、プレイリストから任意で選んで曲を流すのと何万曲からのシャッフルで聴きたい曲が偶然再生される感覚に似ている。その瞬間が強く記憶に刻まれる。
市街地は春霞で靄っている。この霞がない状態だと、御坂山地の奥に富士山が顔を覗かせる。その光景は後ほど。
境内は桜の花びらが舞い散っていて、この空間をもっと脳裏に焼き付ければ良かった。上手く写真に残せるわけもなく、浮足立っていて記憶はおぼろげだ。逆に幻想的すぎて白昼夢なのか。リアリティが薄い。
あおぐ靄 去りて濃くなる 桃源郷
(俳句は嗜んでないけど、一句添えて残したい気分にさせた)
引き続きフルーツラインを走る。
2〜300M走っては写真撮影で止まる。こんなにストップ&ゴーが多いならカーボンホイールだとリム熱問題で神経質になっていたことだろう。今日はアルミで良かったと胸を撫で下ろす。(カーボンホイール持ってないけど)
自転車で走ってるときは撮影のために止まらないほうだと思っていたけど、この景色を前にしたら無理だった。今回は写真多めでお送りしております。
↑中央の道路は、埼玉県深谷 花園IC 〜 甲府市桜井JCT を結ぶ「西関東道路」まだ 全線開通 はしていない。車のドライバーもこの光景を前に、寄り道したいことだろう。
フルーツラインの終点からは、盆地の市街地ゾーンに入る。
この市街地を抜けて南側エリアに行くにはどういうルートで行くか思案する。地図を見て川があったので、まぁ川沿いに走れば無難だろうと考える。
結果的にこのルートは微妙な感じで、堤防の上を走るのではなく、一段下がった河川敷を走るので開放感に乏しいというか、次回走るなら違うルートをとりたいと思ってしまった。ブログに貼ってるルート情報は少しアレンジしてあるけど地元の人に伝授してもらい区間。
笛吹川沿いに進んで、310号 → 140号 →「甲斐銚子塚古墳」に着く。古墳がある「甲斐風土記の丘」は大きな公園だったのでここで小休憩。
交通量の多い市街地ゾーンを抜けたら、またのどかな風景になってきました。
少し走れば桃畑があって、またそのすぐ先に桃畑が広がっていて、また桃畑が・・・ スタンド攻撃?
これは目の前にニンジンをぶら下げられた馬のごとく永遠にペダルを回せるのでは!? と感じてしまうほど高揚感がオーバーレブ。まさに桃源郷。チャッチな催眠術なんかじゃあない。至福の片鱗を味わう。
ふるさと公園 は甲府盆地が一望できる大きな公園。
イベントの際には、花祭りのメイン会場やエイドポイントになるような場所で多くの人が集まる賑やかスポット。公園内には300本の桜が植えられ、「桜の森」と呼ばれています。
この日も車の往来が盛況で、桜や桃の花に見とれてよそ見運転しがち。ちょっと注意したほうが良いです。
リニアの試験走行を見れる展望台。甲府盆地や南アルプスの山々も一望できる。
上に写ってる浅川という川沿いには見頃の桜が多くて撮影に興じる。
奥に見えるアーチ橋はさっきのふるさと公園の地点。高低差が心地好いコース。
リニアモーターカーがあるなんて現地に来て初めて「あ、ここなんだ」っと知った程度なので、対して詳しくないけどさらっと触れる。
この笛吹市のリニア実験線区間は2013年より運用開始。試験走行が見やすい一番のポイントは花鳥山公園。桃の花でピンクに染まった景色の中をリニアが走る。試験走行は毎日しているわけではなく時間もバラバラ。詳しい日程やリニア情報などは、笛吹市観光ナビ にまとめられているのでそちらをご参照あれ。
花鳥山公園。桜が大きい。近くには桃畑をウォーキングできるコースがあるみたい。
しばし景色を眺めてたらリニア来た。「超電導」その響きに未来感をまだ感じる世代。
黒駒地区の桃畑は、菜の花とコラボレーション。
アバウトになりがちな下段には菜の花を配置。中段はメインシンボルの桃の花、上段には青空を。会話の乏しい家族もたちまち笑顔になれるユートピアな空間を演出。匠の采配に感謝。Shangri-La !
こちらの地区も開花の時期には、花祭り会場になるようで桃畑の中を散策できるそうです。
黒駒花祭り会場を下から眺めるアングル。春だけど気温25℃ 夏空を感じさせた。
さきほど高台から眺めたピンクの景色の中へブロッサムダイブ。桃園の中を駆け抜ける区間がパラダイスだったのでGIFにしてみました。
あえてしょぼい品質にして、現地での感動を守る思いやり。(スキル不足否定)
起点「ももの里温泉」 → 「花見台」へのヒルクライム。
データで見ると大したことないじゃん、って印象ですが現地ではけっこう足を削られていたように思う。車1.5台くらいの道幅ですれ違うのが厳しいため、「引かぬ、媚びぬ、省みぬ」のドライバーがいると車詰まりが起こって殺伐としてきます。
“殺伐” というのは気分を侵食してくるので、なるべく近寄りたくないし自分が発生源にもなりたくない。サイクリング中に気をつけたい要素です。
この一宮町地区は、甲斐国《かいのくに》の一の宮、浅間神社 があることからそう呼ばれています。
余談ですが、
この笛吹市一宮町は、千葉県の一宮町と友好都市提携してると wiki にありました。千葉の梨畑も白い花が咲いて一面埋め尽くすことができるので、笛吹市にあやかってみたいものです。流石にこれだけの規模はないけど。
花見台からは、スタート地点のフルーツ公園へ戻る。市街地を抜けて山梨駅付近まで約10km。
そこから最後のヒルクライム。3.5km、高低差250m。足が残っていない、膝の痛み発動。だいぶ不様な姿でヒーコラ上りきってフィニッシュ。
そして、フルーツ公園にある ぷくぷく温泉 へ。
温泉に浸かりながら、今日一日駆け巡ってきた甲府盆地を見渡す。ピンクにあふれる市街地、御坂山地の稜線の奥に山頂を覗かせる富士山。
頭を空っぽにして、疲労感と充足感にただただ揺られている心地好さがあった。
知らない土地を満喫する──
ロードバイクを購入する前に漠然と描いていた、求めていた〝なにか〟を少しだけ取り込めた気がした。
でもこの景色なら、別に自転車でなくても夢見心地で愉しめると思う。車でもオートバイでもウォーキングでも。
別に自転車の優位性を主張するわけでもなく、それぞれの愉しみ方にいろんな時間が具わっている。時間に操られるか、上手く付き合えるか、なのかもしれない。わからんけど。
冒頭に触れた テレビの映像 というのは、自転車で各地を巡る「にっぽん横断 こころ旅」のことだ。
→2016年4月のオンエア ─ 「山梨」笛吹川沿いから見た桃の花のピンクのジュータン
テレビを付けたら終了直前で5秒くらいで番組は終わってしまったけど、画面に映った曇り空の桃畑の風景は記憶に焼き付いた。(そして冒頭につながる)
2016年4月21日 ON-Air 「にっぽん横断 こころ旅」via.NHK
今回ここまで満喫できたのは、桃と桜のサイクリング というイベント情報で走行ルートを知れたことが大きい。後半に走ったルートは大体その走行ルートをなぞった。イベントに参加したいと思っていたけど開花時期と天候の影響が大きいので、最後まで迷っていて締切を過ぎてしまった。
このライドイベント、夏になると 山梨フルーツライド という収穫した果実を楽しめる内容になります。
行きたいと思っていたけど殺人的な酷暑+盆地特有の熱こもりに耐えられる気がしなくて見送ってしまった。後日レポートを読むとエイドでは果物を盛り沢山振る舞われたようで、春に花で楽しみ夏にはその果実を食べられるって、娯しみのレイズアップ、悦びのキャリーオーバー。お腹も心もまんぷくだ。
今回は時間が足りなくて行けないスポットもあった。この夕日の時間帯も見て回りたかった。夜になれば夜景が待ってる。まだまだ知らないことだらけ。これで満喫した気になってはいけない。
もっといろんなところを回れるよう脚力をつけて、この地域に流れる時間にふたたびお目にかかるその日まで。
Reliveで作ってみたコーズマップ | Relive ─ 山梨県 笛吹ライド
▼ RIDE with GPS
▼ Googleマイマップ
山梨県中央市をスタート・ゴール地点とした「桃の花と桜を望むお花見サイクリング」イベント。全長約52㎞のコースで、女性や初心者の方でも気軽に参加できます。食や参加ライダーのサポートも充実!桃色染まる山梨の春をお楽しみください。
山梨県の桃の花(桃源郷)の紹介。開花状況レポート。
▲2003年から開花レポートをアーカイブ。現地の開花状況を知る心強いサイト。
山梨県山梨市にある山梨県笛吹川フルーツ公園は、一年を通して様々なフルーツや花・木を楽しむことができます。ご家族連れには、広場や遊具、また、敷地を巡回するロードトレインと、盛りだくさんです。
山梨県笛吹市 花と果実の観光情報局。
「日本一桃源郷」笛吹市公式の情報ポータルサイト | ふえふき観光ナビ
「日本一桃源郷」笛吹市公式の観光ポータルサイトふえふき観光ナビ。笛吹市の観光・温泉・桃狩り・ぶどう狩り・ワイナリーの情報はここから! リニアモーターカー情報。
やまなしフルーツ温泉ぷくぷく 富士眺望と6つの湯、新日本三大夜景の絶景。
山梨県山梨市のフルーツ公園内の温泉「やまなしフルーツ温泉ぷくぷく」。温泉からは甲府盆地を一望でき、昼は富士山と甲府盆地の絶景、夜は「新日本三大夜景」をご覧いただくことができます。温泉に癒やされ、絶景を楽しみ、ぶどう園や桃園にてフルーツをお楽しみください。
硫黄泉に比べ刺激が少なく、肌の弱い方、高齢者やお子様にも向いています。 またPH10.1の強アルカリ性温泉は柔かい手触り。お肌すべすべ、湯冷めしにくい特徴を持っています。
▲ ぷくぷく温泉のさらに上に「ほったらかし温泉」があります。
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初めまして。ルートラボが終了で焦っている者です。Ride With GPSについて教えてほしいのですが、ルートラボで作ったルートをRide With GPSにインポートすることは可能でしょうか?可能ならばやり方を教えて頂けませんでしょうか? ブログにルートをアップロードするにはどうすればいいのでしょうか?ルートラボだと簡単にできていたのですが・・・
まず Ride with GPS のアカウントをつくってサインインします。
https://ridewithgps.com/log
上記URLにアクセスして、[Select files] を選んで、ルートラボからダウンロードしたGPXデータをアップロードします。
https://ridewithgps.com/routes/
「Routes」のページにアップロードしたルートができるので、左上の[Share]→[Get Custom Embed]→コードをコピペしてブログに方に貼りつけます
どうぞお試しください。
ありがとうございます。解決しました! ブログに貼るだけならグーグルマップもそう悪くないですね。簡単に比較ができて参考になりました!
すごい作り込みのブログですね。すばらしいです。
Ride with GPS は2019年4月頃からサイトデザインをリニューアルしていて、ボタン配置がちょこちょこ変更しているみたいです。
GPSファイルのアップロードも、以前はもっとわかりやすいところにあったと思います。
Ride with GPSを完全に機能を把握しているわけではないですが、走行データをいじっていると情報量が多くて発見がありますよね。
最大勾配の場所を示してくれるのは有り難いです。